夏場所は新大関貴景勝に注目が集まりましたが、
4日目の御嶽海戦で右ヒザを負傷して5日目から
休場してしまいました。
しかし、中日に再出場すると、叩かれて土俵に落ちて
敗れてしまい翌日からまた再休場となりました。
まだ22歳と若いですが、力士にとって
膝のケガというのは致命傷になりかねません。
数年前、当時大関で横綱を狙おうかという勢いだった
照ノ富士も膝のケガで休場を繰り返し今場所は
三段目という地位で相撲を取っています。
再出場の賛否もいろいろと別れていますが、
まずはしっかりと治して、
また元気な姿で土俵に戻ってきて欲しいですね!
さて、今回私が相撲を観戦していて感じたことは、
『立ち合い』の不成立についてです。
これは私の現役時代の時も思っていたとですが、
特に最近強く感じることです。
色んな競技がある中で、相撲の立ち合いは、
唯一といっても良いと思いますが、
審判の合図やゴングもホイッスルはありません。
行司さんの「待ったなし!」の声が掛かると、
お互いが蹲踞から目と目を合わせて立ち上がり、
腰を割って膝の上に一度ひじをおろして呼吸を合わし、
手を下ろしてぶつかり合います。
あえて言うなら「阿吽の呼吸」でしょう。
日本相撲協会の勝負規定第五条にはこう書かれています。
第五条
『立合いは腰を割り両掌を下ろすを原則とし、
制限時間後両掌を下ろした場合は「待った」を認めない』
にもかかわらず、目を覆いたくなるような立ち合いの乱れも多々あります。
私が入門したのは1980年です。
当時はほとんど手も下ろさず目で合わすだけで
中腰での立ち合いが当たり前の様に成立していました。
しかし1984年に余りにも立ち合いが乱れているため、
相撲協会が主導で立合いの正常化が徹底され、
両力士とも両手を着いての立合いが義務化されたのです。
私も当時のことを覚えていますが、
いきなりの「両手をしっかり下ろして」の
立ち合いは慣れるのに時間がかかりました。
とは言っても、毎日何十番もこなしていればあっという間に慣れるものです。
そして、1991年の二子山理事長時代には、
制限時間一杯から「待った」をしたり、立ち合いが
何らかの理由で不成立になると、両力士から
罰金100,000円を取ることも数年間行われました。
(現在は廃止になっています)
そんな経緯を経ての、
『立合いは腰を割り両掌を下ろすを原則とし、
制限時間後両掌を下ろした場合は「待った」を認めない』なのです。
このところ観ていると、行司さんや審判員が
「手をついていない」や「呼吸が合っていない」で
立ち合いをやり直させる場面が時々見られました。
明らかに手をついていないのに立ち合いが成立したり、
はたまた不成立だったりと
元力士から見ていてもわかりづらいです。
真剣に土俵に上がっている本人達は大迷惑ではないかと
テレビ桟敷で観戦していて感じました。
もちろん、本人たちも駆け引きしたりしている場合もあるのでしょうが、
それも含めて、
『潔くきれいな立ち合い』に統一するためには
土俵の中にセンサーを埋め込んで
「センサーに両手が反応しない場合は不成立」
とした方が誰もがわかりやすくてよいのではないでしょうか。
短距離走ではないですが、フライングを2度行ったら負けにするとか、
はたまた以前のように罰金でもよいのかもしれません。
人は自分の懐が痛むとなると改善する方法を考えるようになるものです!
時代はすでに令和になりました。
大相撲界もそれくらいの改革があっても良いのではかと思い
独り言のように書き留めてみました!
こちらは若かりし頃の私の成立した「立ち合い」です(笑)